卓話「原子力の話」 公益財団法人原子力安全研究協会統括参事 石川秀高様
原発事故の収束のメドは一向に立っていませんが、今回のような原子炉事故が発生すると、スピーディー(緊急時迅速放射能影響予測ネットワーク)システムによりいち早く放射性物質の飛散方向・地域などが判明し、避難区域が設定されます。今回の事故では、政府からのこの情報公開が遅れたことが取り沙汰され問題になったことは皆様ご存知のとおりです。そして、このシステム情報に基づいた放射線モニタリングデータにより、来年3月11日までの積算線量の予測も新聞紙上で報道されました。放射線は目に見えないものであるため、アメリカの多くの心理学者たちは「なんとなく怖い(シャドウ・フェノメノン)」と呼んでいます。
内部被曝・外部被曝にかかわらず、放射線を浴びると少なからずなんらかの影響が生じます。国際放射線防護学会(ICRP)の発表によると100ミリシーベルト(以下、mSv)が境界数値とされ、それ以下とそれ以上では症状が全く異なります。7,000~10,000mSvの量を全身被曝すると100%の人が死亡、局部被曝では10,000mSv以上で皮膚の急性腫瘍が起こります。また、3,000~5,000mSvで全身被曝した場合は50%の人が死亡、局部被曝では脱毛・永久不妊・白内障・紅斑などの症状が表れます。これらのことから「全身被曝のほうが影響が大きい」とされています。加えて、放射線によるDNA損傷からガンの発生が発表されていますが、ここでもまた100mSvが境界となっていて、例えば1,000人全員が100mSvの放射線を浴びた場合、ガン死亡の自然発生率30%から0.5%増加すると予測されています。1,000人のうち305人が発生する計算になります。
私達は日常生活において、世界平均で年間2.4mSvの放射線を浴びているといわれていて、このほか胸のX線撮影やCTスキャンなど具体的事例による数値を資料に示しておきましたので、参考にしてください。日本人の年間被曝線量は3.7mSv、そのうち60%が医療被曝となっています(資料参照)。日本全体をみると0.99mSvですが、関東より関西のほうが平均的に約1割ほど高く、局地的に高数値を示すところもあります。体内の放射性物質の量と食物中に含まれるカリウム40の放射能量が資料に図示されていますので、目を通して頂ければ幸甚です。
よく引き合いに出されるチェルノブイリ原発事故の特徴として、15歳未満の児童に集中した甲状腺疾患があげられます。生存率99%とされていますが、強制移動や社会的・経済的不安などの精神的疾患が今でも続いているといわれています。今回の福島での原発事故から6か月が経ちましたが、疾病よりもこういった精神的影響に起因する変化が表れるだろうと多くの専門家が予測しています。
ところで、一方ではこの放射線があらゆる分野で利用されていることも見逃せません。室内に設置されている煙感知器や蛍光灯のグロー球、タイヤ、ボタン電池や燃料電池の隔膜、発泡ポリエチレンなどにも取り入れられ、シリコンの半導体化にも応用されています。農業面では草花の品種改良や肥料、医学面ではCTスキャンや創傷剤に役立っていて、漁業面ではサケの遡上研究調査に用いられていることは余り知られていないのではないでしょうか。
人体が保有している放射線量に比べて、なにかにつけて公表される数値のほうが低いのに不安を覚えるのは、やはり「目に見えないもの」に支配されているのだろうと思います。申し上げた実情をよく理解し、報道される情報に対して冷静に判断して頂くことをお願いいたします。
会長あいさつ 瀬戸啓司会長
当クラブからの米山記念奨学会への寄付金額が3,000万円に達した実績に対し、本年度の地区大会において表彰されることになりましたのでお知らせいたします。PETSの効果についての調査結果が地区より送られてきましたが、時間的には「1日~1日半がちょうど良い」という意見が多く、私が出席した時には「役割と責務」「地区指導者への協力体制ができるかどうか」「クラブ管理運営」「会員増強」「財団と米山」「長期計画について」などのテーマで行われました。必要であれば、その資料を次年度執行部へお渡ししたいと思います。また地区会員増強・会員維持委員会の議事録が届き、女性会員の増強対策として「輝く女性の集い」を企画し、東京恵比寿RC元会長の司葉子氏に基調講演を依頼して意識高揚を目ざしたいという内容も記されています。
以上、地区からの報告事項をまとめてお知らせいたしました。
幹事報告 内田治光幹事
1.地区大会出席者名簿を回覧いたしますので、確認のため目を通してください。集合・出発時間などについては次回例会でお知らせいたします。
2.以前当クラブの例会に出席されたネパールのサキヤ氏が、7月よりネパールのマハゴーダRCの会長になられたそうです。礼状が届いていますので回覧いたします。
3.前回の例会で説明させて頂きました「規定審議会への上程案件」について回覧いたします。