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2004年03月13日

 関田さん財団奨学生帰国報告

sekita.jpg
小田原中ロータリークラブの皆様。2001年度財団学友、関田美智です。2001年度ロータリー財団親善奨学生として、中クラブにご推薦いただき、2年半の間、カナダで勉強をしてまいりました。昨年末に、住み慣れたバンクーバーを去る決意をし、梅香る、懐かしい小田原に帰ってまいりました。留学中は連絡不足で、中クラブの皆様、特に井上カウンセラーにおいては、大変ご心配をおかけしたと思います。今日、このように皆様の前でお話しをする機会を与えていただき、少しでも、私が財団奨学生として修めた学業と国際親善についてのご報告ができればと思っております。

さて、皆様ご存知の通り、私は1994年度ロータリー青少年交換学生として、カナダに留学をしておりました。そして、2001年度には財団奨学生としてカナダに留学を実現させました。なぜ、カナダなのか、なぜ私がカナダに魅せられるのか。まずはここからお話したいと思います。

カナダという国は、世界でロシアに次いで国土面積の大きな国であるにも関わらず、お隣のアメリカ合衆国の陰に隠れがちで、観光と自然以外にはあまり注目を浴びない国です。しかし、カナダは社会学・人類学的に見ると、人種のるつぼといわれるアメリカ合衆国と同様、様々な民族、言語、文化であふれた、非常に興味深い国です。1971年に、世界で初めて、多文化主義政策を、国レベルで実施した国でもあります。イギリス系とフランス系の移住者たちが、先住民たちの住んでいた土地を開拓し、1867年にカナダ連邦成立にいたるわけですが、その後増え続けた移民は、さまざまな文化的背景を持ち込みました。それをうけ、カナダは文化のモザイクを形成しているといわれることが良くあります。見た目も、話す言葉も違う国で育った人々が、「カナダ人」になる・・・。「カナダ人」という定義はいったいどこにあるのでしょうか。カナダの魅力は、この「あいまいさ」、といってもよいと思います。実際に、カナダ人に、カナダ文化、カナダ人の定義を尋ねても、答えは十人十色です。

canada day.jpgしかし、この「あいまいさ」から生まれる問題がひとつあります。それは、「だれがカナダ人か」という問題です。これは、特にビジブル・マイノリティと呼ばれる人々が直面します。ビジブル=目で見える、マイノリティー=少数派という意味ですが、アジア人、アフリカ人のように、見た目が「白人でない」人のことを指します。祖父母が移民し、自分はカナダでうまれた3世代目の日系カナダ人の友人、イアン・岡部。祖父母が他界した今、日本とのつながりは全くなく、根っからのカナダ人ですが、見た目は全く日本人と変わりません。自分の国に住んでいながら、「どこから来たの?」と質問をされることは少なくなく、しばしば、「なぜ日本語が話せないの?」と聞かれることもあります。ビジブル・マイノリティは、イアン・岡部のように、カナダ人でありながら、「カナダ人」と「日本人」の狭間に置かれてしまったような人ということができます。カナダの人口は約3000万人、ビジブルマイノリティと呼ばれる人々はうち、400万人に達します。私は、文化人類学的視点から、このようなカナダの「あいまいな」アイデンティティから生まれる諸問題を研究する必要があると考えました。

私が二年半を過ごした、バンクーバーは、北アメリカの太平洋岸に位置します。アジアへの門といわれるだけあり、アジア系移民の顕著な町です。バンクーバー市とその周辺の20市町村を含めた、大バンクーバーの人口は約200万人、うち72万6千人はビジブル・マイノリティで、人口の37%に相当します。そのうち58万8千人は、いわゆるアジア人(中国系、韓国系、日系、東南アジア系、南アジア系移民)です。そのバンクーバーにあるのが、私が通ったブリティッシュ・コロンビア大学、通称UBCです。私はUBCの大学院で、文化人類学を勉強しました。UBCは、大学といっても町一個分くらいの大きさがあります。キャンパスの中には学生寮だけでなく、一般住民の住居も立ち並んでいます。また、ゴルフコースもキャンパスの中にあります。一度だけ、キャンパスを横断して歩いたことがありますが、1時間かかりました。

bonodori.jpgそんなUBCで、私は、日本研究をなさっているミリー・クレイトン教授のもとで、研究を進めました。修士論文のテーマに取り上げたのは日系カナダ人で、特に日系人と非日系人との間に生まれた子供、日本で言われる「ハーフ」のアイデンティティに焦点を当てました。日系カナダ人社会では、ハワイ語の「ハッパ・ハオレ」、半分白人というかつては差別用語であった言葉を肯定的に見直し、そのような子供たちをハッパと呼びます。日系カナダ人には、第二次世界大戦中、強制収容所に送られた苦い歴史があります。これは、「日本人」か「カナダ人」かの間に挟まれてしまった、皮肉な歴史です。戦後、多くの日系カナダ人は、日本人であることを捨て、白人社会への同化を進めました。結果、日系カナダ人3世の90%以上が、日系人以外のパートナーを選びました。1877年に最初の日本人がカナダに到着してから125年以上がたった現在、日系カナダ人社会は、これまであった、「日系人」という概念を大きく変え、薄れ行く日本の血を、民族と文化の終焉としてみるのではなく、あたらしい日系文化の始まりとして見る必要性に迫られています。また、日系社会には、日系カナダ人だけでなく、1970年代以降に移民した新しい日系人もいます。そこに、「ハッパ」と呼ばれる子供たち、の子供たちが加わり、カナダの日系社会は、カナダ同様、「あいまい」な社会となりました。この「あいまいさ」は、多様性、としてみることができ、肯定的に受け止めることで共生=共に生きることが始まります。

powellshishimai.jpg研究の資料は、文化人類学的手法から、フィールドワーク、パーティシパントオブザベーション、いわゆる参与観察、を行いました。日系コミュニティーでボランティア活動をはじめることで、日系コミュニティーとの関係を徐々に築き上げていきました。日本語はほとんどはなさない日系カナダ人の中で、「美智は日本人らしくないね」といわれながら、親しい友人を何人も作りました。その結果というのは変ですが、大バンクーバー日系カナダ人市民協会(JCCA)が発行する、月報の1月号の表紙を、飾ることになりました。

文化人類学とは、文化や民族の研究をする学問ですが、その根底にあるのは、調査者の興味と、調査者と非調査者が築き上げる友好関係ではないだろうか、と私は考えています。個人的なレベルでの国際交流、といえると思います。調査する側の立場でしたが、調査というよりも、教えてもらう、分けてもらう、という気持ちで人に接しました。日系人の調査をし、バンクーバーで日本を学んだ、というのが本当のところです。

この研究の成果は、5月の卒業と同時に、修士論文として出来上がります。現在、日本語訳を作成中しておりますので、興味のあるかたはぜひ、お申し付けください。また、余談ですが、6月6日の日曜日に、小田原市の国際交流ティーサロンで、お話しすることが決まりました。ぜひ、足をお運びください。

2年半の間、ロータリー活動も、できる範囲でがんばってやってまいりました。カウンセラーのエレノア・マクワネルさんは、ロータリアンとして活躍する女性の一人です。家族のように接していただき、2年半、たっぷりと甘やかされてまいりました。

ロータリー活動のクライマックスは、2003年5月に、当時RI会長でいらっしゃったビシャイ・ラタクール氏が、UBCを訪問され、個人的にお話をさせていただいたことです。RI会長に会うのは初めてのことで、雲の上のような方かと思っていましたが、そこら辺にいるおじいちゃんのようなかたで、あたたかいお人なりを感じました。

バンクーバーには、毎年約7名の財団奨学生が集まりますが、私のいた年はほとんどが日本人とドイツ人でした。5040地区から、外に派遣する財団奨学生はかろうじて1人です。現在5040地区のガバナーになったメアリー・ワトソンさんは、当初財団奨学生のコーディネーターをなさっており、財団奨学生を増やそうと、がんばっています。今年大阪で開かれる、5月のRI国際大会では、彼女との再会を約束しました。財団奨学生の任務は終わりましたが、財団学友として、これからもできる限りの活動をしていきたいと考えています。

現在私は、日本へのリハビリ中です。高校留学の時よりも、今回の留学のほうが日本とカナダの差異に気づくことが多かったので、今、様々な違いに悩まされています。その中でも一番大きな違いは「時間」。カナダの特徴は文化的、民族的な「あいまいさ」だとお話しましたが、カナダは時間も、「あいまい」です。「待ち合わせは6時ね」、という会話はなく、「6時ごろね。」の「ごろ」がつきます。バス停にも時刻表はついていません。「日中のみ」運行という表示があるのもありました。2年半、そんななまぬるい環境の中で甘やかした時間的センスは、日本に帰ってきて、分刻みに記される時間に圧倒されています。住み慣れたバンクーバー、定年後に、ゆっくりと隠居をお考えのかたには、本当におすすめです。日系コミュニティーもありますので、ぜひどうぞ。

私は、今後4月より、中央大学大学院、総合政策研究科の2年次に復学し、カナダで学んだ文化人類学を活かし、日本語で修士論文を書く予定です。これからまた1年、学生に戻りますが、今年で学生は辞めるとここで宣言をしますので、ご安心を。これからまた、中クラブの皆様にはお世話になることが多々あると思いますが、よろしく、ご指導願いますよう、お願い致します。

Posted by Yoshida at 2004年03月13日 11:08
コメント

これを見て思ったことは、白人社会と同化していくっていう悲しい現実だってこと、、誠に失礼ですが見かけは日本人でも外国でで生まれて育ったら日本人じゃないと思います、、よくこころは日本人とかいう人もいるけど、、それはほんのちょっとしかないんじゃないかなと思います、、日本人には礼儀、目上の人を尊重するとか、尊敬語、謙譲語など堅苦しいかもしれないけど、相手を敬うとか、、いろいろ奥の深いとこがまだまだたくだんあります、、でも僕もカナダについてよく知らないだけだとおもうんですが、、カナダ人はフレンドリーだと思います日本みたいに堅苦しくないし、こっちは人と人の距離がすごい近いです。僕は日本もカナダも両方好きです

Posted by: カナダに留学中 at 2004年09月30日 09:17
せっかくですからコメントをどうぞ









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